review 宮城リョータの17年と40分。試合時間残り24秒―。“今”を生きる力を与えてくれる、きらめく瞬間の表現(『THE FIRST SLAM DUNK(2022年)』レビュー) “17年と40分”。これは映画『THE FIRST SLAM DUNK』における“2本の時間軸”のことだ。(※1)今作の主人公である宮城リョータが過ごした17年の人生と、作中で描かれる湘北高等学校VS山王工業高校の40分の1試合を示す数字で... 2024.08.28 review
review 『ミッドサマー』のアリ・アスター監督最新作『ボーはおそれている』 そのマイノリティ性から不安と恐怖の味わいを読み解く(『ボーはおそれている(2023年)』レビュー) 独創性の強いトラウマ的な恐怖表現によって、今世界中から注目されている映画監督アリ・アスター。スウェーデンの夏至祭を舞台にしたトラウマ映画『ミッドサマー(2019年)』は日本でも大きな話題を呼び、『ミッドサマー』でアリ・アスターの名を知った... 2024.04.16 review
review 美大出身ライターが観た 画家の視点で描かれるミステリー ピーター・グリーナウェイ『英国式庭園殺人事件』(『英国式庭園殺人事件(1982年)』レビュー) 渋谷シアター・イメージフォーラム他全国の劇場にて、『〈特集上映〉ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師』が開催中だ。(年3月現在)ピーター・グリーナウェイはイギリスの映画監督。そのアーティスティックな独自の美意識に... 2024.03.18 review
review 『窓ぎわのトットちゃん』画力(えぢから)を信じた丁寧な描写 子供たちへの愛情と反戦への熱い想い(『窓ぎわのトットちゃん(2023年)』レビュー) 幼い子どもの桜貝のようにツヤツヤとした爪、エアコンのない暑い部屋でオーケストラの練習をして出来るシャツの汗染み、日に透ける葉っぱの重なり合い、疎開する列車の鉄板の汚れ、戦争で薄汚れた人々の肌…。映画『窓ぎわのトットちゃん』は小学生であるトッ... 2023.12.30 review
review 文化芸術、ひいては人間へのインテリジェンスな愛情の映画化 (「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年)」レビュー) フランスのとある街に編集部をかまえる架空の雑誌、「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」。編集長のアーサー・ハウイッツァー・Jr.が急死し、本人の意向により彼の追悼号が雑誌の最終号となることに―。今作は架空の... 2022.08.01 review
review 伝説のバンド「トーキング・ヘッズ」を知らない私の脳神経を刺激した知的映画「アメリカン・ユートピア」 (「アメリカン・ユートピア(2020年)」レビュー) お恥ずかしながら、浅学な私は「トーキング・ヘッズ」を知らなかった。1974年結成、1991年解散の伝説のアメリカロックバンド。それが今作「アメリカン・ユートピア」の主人公デヴィッド・バーン(David Byrne)が所属していたバンド「トー... 2022.04.03 review
review ラテン音楽とHIP-HOPのビートが巻き起こす、マイノリティとマジョリティを反転させる熱く明るい風 (「イン・ザ・ハイツ(2021年)」レビュー) 「故郷の音楽で語ろう」。ラテン系移民でニューヨーク育ちのウスナビがそうつぶやくと、ラテンのビートに乗せて登場人物たちが歌い出し、映画がテンポよく走り始める。 舞台はニューヨークの一角、移民が多く住む街「ワシントン・ハイツ」。 登場人物は「ワ... 2022.02.14 review
review 現代を生きる女性に通じる「若草物語」四姉妹の生きる道 (「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年)」レビュー) 小学生の頃に魅了され、大人になっても私の心を離さない物語がある。 それが今作の原作、「若草物語」(ルイーザ・メイ・オルコット著)だ。 青い鳥文庫で繰り返し読み、夢中になってページをめくった指の感触を今でも覚えている。 そんな私は、映画の最初... 2022.01.17 review